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IgG4関連疾患への誘い —IgG4研究会モノグラフ— 表紙

IgG4関連疾患への誘い —IgG4研究会モノグラフ—

監修:
金沢大学大学院血管発生発達学 小児科学 谷内江昭宏
編集:
信州大学 健康安全センター 川 茂幸
金沢大学大学院臓器機能制御学 リウマチ・膠原病内科 川野充弘

2010年3月13日の長岡での第4回IgG4研究会に合わせて最初のIgG4研究会モノグラフである「IgG4関連疾患への誘い」が上梓されました。
実質的に、先頭に立ってこの会を牽引しておられた川先生の発案です。

日本シェーグレン症候群学会理事長 住田孝之先生よりいただいた巻頭の推薦の言葉に、本書を出版した目的、当時のIgG4研究会の役割と位置付けが明確に記載されていますので、少し長文ですが、引用させていただきます。

日本発の新しい疾患概念「IgG4関連疾患(IgG4-related disease)」に関するproceedingとして「IgG4関連疾患への誘い —IgG4研究会モノグラフ—」をここに発刊する。
内容は、IgG4関連疾患の概念樹立にいたった歴史と経緯、統一診断基準案作成へのアプローチ、全身疾患としての多彩な症状や所見の特徴、さらに具体的なケースレポートを集約し、現時点での最高峰をめざした構成である。
本疾患が、全身の諸臓器を傷害する疾患であること、血清中のIgG4値が高値を呈すること、病理所見が診断に重要であることから、執筆者の専門領域は、リウマチ膠原病内科、消化器内科、呼吸器内科、腎臓内科、血液内科、眼科、口腔外科、病理学などと多岐にわたっている。
各項目とも臨床医としての鋭い視点と検査結果や病理学的所見の繊細な解析によるエビデンスの集大成である。

・・本書はIgG4関連疾患の理解と解明に向けたタイムリーなモノグラフである。世界に日本の英知を発信する本書の英語版出版も楽しみである。

粒ぞろいの論文の中で、谷内江昭宏先生によるIgG4関連疾患「発見」の意義を医学の歴史の大きな流れから鳥瞰した珠玉のエッセイのような論文と、未知の疾患が発見され、名前がつけられていく過程を探偵小説の事件の当事者のような語りで詳述した、篠ノ井総合病院 病理科の川口研二先生の論文が圧巻です。
このような論文は、IgG4関連疾患の普通の学術書では見ることができず、今日でも決して色あせることなく、本書の大きな特徴となっています。

IgG4関連疾患の概念が世界全体に普及した今日、あらためて手に取っていただきたい一冊です。