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IgG4関連疾患包括診断基準が改訂されました

IgG4関連疾患(IgG4-RD: IgG4-related disease)は、血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とする新たな疾患で、その発見から概念の確立まで日本人研究者が大きく関わってきました。そして、2011年には厚生労働省IgG4関連疾患研究班から「IgG4関連疾患包括診断基準(Comprehensive Diagnostic Criteria)」が発表され、この疾患が広く世界に周知されるようになりました。2019年には、アメリカリウマチ学会(ACR)とヨーロッパリウマチ学会(EULAR)の共同で、Classification criteria for IgG4-RDが発表され、この疾患への取り組みが世界的なものとなってきました。
このような流れの中、厚生労働省IgG4関連疾患研究班では、これまでのエビデンスをもとに、IgG4関連疾患包括診断基準の改訂を行いました。大きな特徴は、日本が提唱して来た、血清IgG4値>135mg、IgG4陽性細胞数>10/hpf以上且つ、IgG4陽性細胞数/IgG陽性細胞数>40%を堅持しつつ、IgG4関連疾患に特徴的な病理像である、storiform fibrosis(花筵様線維化)とobliterative phlebitis(閉塞性静脈炎)を診断項目に加えたことです。
加えて、リンパ節単独病変は、特異性が低いことから臨床的及び画像的診断の項目1から除外しました。また、類似疾患を除外するために、高熱、CRP高値、好中球増多などを除外項目に追加しました。改訂された包括診断基準は、The 2020 Revised Comprehensive Diagnostic (RCD) Criteria for IgG4-RDとしてModern Rheumatology誌に発表されています。
(Free access,https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14397595.2020.1859710
また、本邦での周知のために、特別寄稿 「2020年改訂IgG4関連疾患包括診断基準」として日本内科学会雑誌(110巻5号)に掲載されています。
本邦の包括診断基準やClassification criteriaによって、IgG4関連疾患の研究がさらに発展する事を願います。

(文責:梅原久範)

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